○白石市男女共同参画社会推進条例
平成14年6月21日
条例第21号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 男女共同参画社会の形成を促進するための基本的施策(第8条―第16条)
第3章 男女共同参画社会の形成を阻害する要因の排除(第17条―第22条)
第4章 推進体制(第23条―第28条)
第5章 補則(第29条)
附則
人は誰でも人として尊重され、人間らしく個性豊かに生きる権利を持っている。これは、性別にかかわりなくすべての人に与えられた権利である。
我が国では、個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けて様々な取組みが進められてきたが、現状では性別による役割分担意識や、それに基づく社会の制度、慣習は依然として残っており、真の男女共同参画社会の実現には、さらなる努力が求められている。
白石市においても、男女共同参画社会を目指し事業を推進してきたが、少子高齢化の進展等社会経済情勢の急速な変化に対応していくうえで、男女が互いにその人権を尊重し、対等な立場で共に責任を担い、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受していくことが一層重要な課題となっている。
市、市民及び事業者が、協働で、一人ひとりの個性が輝く男女共同参画社会の実現を目指して、ここに、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにし、男女共同参画社会の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の実現を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画社会 男女が社会の対等な構成員として、その個性と能力を十分に発揮する機会が確保されることにより、自らの意思によって社会のあらゆる分野に参画し、共に責任を担うべき社会をいう。
(2) 事業者 市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画社会の形成は、個人としての尊厳が重んぜられ、男女が性別による差別的取扱いを受けることなく、共にその個性と能力を十分に発揮することができるものとする。
2 男女共同参画社会の形成は、性別による固定的な役割分担に基づく社会の制度、慣習が男女の社会における活動の自由な選択に対し影響を及ぼすことがないよう配慮するものとする。
3 男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援のもとに、家庭生活と職業生活等が無理なく両立できるものとする。
4 男女共同参画社会の形成は、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に、共に参画する機会が確保されるものとする。
5 男女共同参画社会の形成は、妊娠、出産その他の性に関する事項について、自らの決定が尊重され、生涯を通じた健康に配慮されるものとする。
6 男女共同参画社会の形成は、市、市民及び事業者が自らの責任を自覚し、教育を含むあらゆる場において主体的にその役割を果たすとともに、相互の創意工夫によって互いに協働で行うものとする。
(市の責務)
第4条 市は、市の重点施策として、男女共同参画社会の形成に関する総合的な施策を策定し実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
3 市は、国、県と連携を図り、市民及び事業者と協働で男女共同参画社会に関する効果的な施策の推進を図らなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、男女共同参画社会について理解を深め、社会のあらゆる分野において相互に協力し、男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 市民は、市が行う男女共同参画の施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保及び職場における活動と家庭その他の活動との両立に配慮し、男女共同参画社会の推進を阻害する要因を取り除くことに努めなければならない。
2 事業者は、市が行う男女共同参画の施策に協力するよう努めなければならない。
(教育の役割)
第7条 学校教育その他のあらゆる教育に携わる者は、男女共同参画社会の形成に果たす教育の重要性にかんがみ、個々の教育本来の目的を実現する過程において、男女共同参画の基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
2 何人も、次代を担う子どもたちの教育に関し、家庭及び地域において男女が共に積極的に参画するよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画社会の形成を促進するための基本的施策
(基本計画)
第8条 市長は、男女共同参画社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定する。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画社会の形成に関する施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、基本計画を策定するに当たっては、市民及び事業者の意見を反映することができるよう適切な措置をとるものとする。
4 市長は、基本計画を策定するに当たっては、白石市男女共同参画専門委員会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
6 市長は、社会情勢の変化等に対応するため、必要に応じて基本計画の見直しを図るものとする。
(調査研究)
第9条 市は、男女共同参画社会の形成を阻害している要因の調査分析並びにその解決のための方策の研究その他男女共同参画社会の形成に関する施策の策定に必要な調査及び研究を行うものとする。
2 市長は、調査の結果及び研究の成果を公表するものとする。
(普及啓発)
第10条 市は、市民及び事業者の男女共同参画社会の形成に関する理解を促進するため、必要な普及広報活動を行うものとする。
(教育及び学習の推進)
第11条 市は、市民があらゆる機会を通じて男女共同参画社会の形成に資するため、教育及び学習の推進に必要な措置を講じなければならない。
(民間活動の支援)
第12条 市は、市民及び事業者の男女共同参画社会の形成に関する自主的な取組みに対し、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(家庭生活と職業生活等の両立支援)
第13条 市は、男女が共に家庭生活と職業生活等を両立することができるよう、子の養育及び家族の介護等において必要な支援を行うものとする。
(事業者の表彰)
第14条 市長は、雇用の分野における男女共同参画社会の形成に関し、積極的に取り組んでいる事業者の表彰を行うものとする。
2 市長は、前項の表彰を行ったときは、事業者の取組みを公表するものとする。
(年次報告)
第15条 市長は、男女共同参画社会の形成の状況及び促進に関する施策の実施状況について年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(積極的改善措置)
第16条 市は、あらゆる分野における社会活動について、男女間に参画する機会の格差が生じている場合、市民及び事業者と協働し、積極的改善措置を講じなければならない。
2 市長は、附属機関として設置する審議会等の委員を任命し、又は委嘱するときは、男女いずれか一方の委員の数が、委員の総数の10分の4未満とならないよう努めなければならない。ただし、やむを得ない事情があると認めたときは、この限りでない。
第3章 男女共同参画社会の形成を阻害する要因の排除
(性別による権利侵害の禁止)
第17条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 家庭、職場、学校及び地域等あらゆる場における性別による差別的取扱い
(2) 家庭、職場、学校及び地域等あらゆる場におけるセクシュアル・ハラスメント(性的な言動により、相手方の生活環境を害する行為又は相手方の対応により、その者に不利益を与える行為をいう。)
(3) 家庭、職場、学校及び地域等あらゆる場におけるつきまとい等及びストーカー行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第1項に規定するつきまとい等及び同条第2項に規定するストーカー行為をいう。)
(4) 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)等における暴力行為(身体的、性的又は精神的な苦痛を著しく与える行為をいう。)により、男女の人権を損う行為
(市民に表示される情報に関する留意)
第18条 何人も、広く市民に表示される情報において、性別による固定的な役割分担及び女性に対する暴力等を助長する表現並びに過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。
(相談及び苦情処理)
第19条 市長は、第17条各号に掲げる行為を受けた者(当該行為を受けた者の同伴する家族を含む。以下「被害者」という。)の相談に応じ、情報の提供その他の支援を行う。
2 市長は、市が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策及び推進に影響を及ぼすと認められる苦情等の適切な処理を行う。
3 市長は、前2項の相談及び苦情処理については、国、県の関係機関との連携を図り、適切な措置を行うとともに、必要に応じ関係者に対し資料の提出又は説明を求め、調査を行うものとする。
4 市長は、前項の調査結果に基づき是正措置等がある場合は、勧告又は助言を行うことができる。
(相談及び支援)
第20条 市は、男女共同参画社会の形成を阻害する要因を排除するため、適切な相談及び支援に努めるものとする。
(被害者の緊急一時保護及び自立支援)
第21条 市長は、第17条第4号に掲げる行為を受けた被害者からの申出により、緊急一時保護(以下「保護」という。)が必要と認められるときは、公共施設等において保護するものとする。
2 前項の保護する期間は、当該保護が必要と認めるときから、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第3条に規定する配偶者暴力相談支援センターで保護を受けるまで、又は市長が適切と認めるまでとする。
3 市長は、偽りその他不正の手段により、第1項に規定する保護を受けた者に対して保護に要した費用の返還を求めることができる。
4 市長は、被害者が自立して生活することを支援するため、各種制度の利用、情報の提供及びその他必要な援助を行うものとする。
5 市長は、配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うものとする。
(職務関係者の守秘義務等)
第22条 市が実施する被害者の保護及び相談等を行う職務関係者は、被害者の人権を尊重し、その安全の確保に十分な配慮をしなければならない。
2 職務関係者は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
3 市は、職務関係者に対し、被害者の人権及び配偶者等からの暴力等に関する知識を深めるために必要な研修を行い、資質の向上を図るものとする。
第4章 推進体制
(推進体制の整備)
第23条 市は、市民及び事業者と協働し、男女共同参画社会に関する施策を推進するため、必要な体制整備に努めるものとする。
(男女共同参画専門委員会の設置)
第24条 市長は、男女共同参画社会の形成に関する施策を市民の意見を反映しながら総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画専門委員会(以下「専門委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第25条 専門委員会は、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 男女共同参画社会の形成に関する基本的な計画の策定及び見直しに関する事項
(2) 男女共同参画社会の形成に関する調査及び研究に関する事項
(組織)
第26条 専門委員会は、市長が委嘱する委員10名以内で組織する。
2 委員は、男女同数とする。ただし、市長がやむを得ない事情があると認めたときは、この限りでない。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(会長及び副会長)
第27条 専門委員会に会長及び副会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、専門委員会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第28条 専門委員会の会議は、会長が招集し、その議長となる。
2 専門委員会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 専門委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第5章 補則
(委任)
第29条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成17年3月8日条例第1号抄)
この条例は、平成17年4月1日から施行する。
附則(平成25年12月18日条例第49号)
この条例は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第72号)の施行の日から施行する。
附則(平成27年9月18日条例第40号)
この条例は、平成28年4月1日から施行する。
附則(令和5年12月18日条例第32号抄)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。