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平成30年度 決算審査の結果 公営企業会計

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年9月25日更新

1.審査の対象

 平成30年度白石市水道事業会計決算
  平成30年度白石市下水道事業会計決算

2.審査の期間

 令和元年7月16日から令和元年8月9日まで

3.審査の方法

 この決算審査にあたっては、地方公営企業法第30条第2項の規定により、市長から審査に付された決算書類(決算報告書、損益計算書、剰余金計算書、剰余金処分計算書、欠損金処理計算書、貸借対照表)並びに決算附属書類(事業報告書、収益費用明細書、固定資産明細書、企業債明細書)が、地方公営企業法その他関係法令に準拠して作成され、かつ、企業の財務状況および経営成績を適正に表示しているかどうかについて審査した。
 審査にあたっては、関係帳票、証拠書類の提出を求め、さらに経営内容の動向を把握するため、計数分析による比較検討を行うとともに、関係責任者の説明を聴取した。

4.審査のまとめ

1.水道事業会計

 平成30年度の経営成績については、総収益8億5,600万6千余円で、総費用8億8,853万余円となり、差し引き3,192万3千余円の純損失となった。 
 この結果、純損失に前年度繰越利益剰余金6億4,929万5千余円を加えた当年度未処分利益剰余金は、6億1,737万1千余円となった。これに減債積立金1億4,271万円と建設改良積立金8,600万円を合わせた利益剰余金では8億4,608万1千余円となった。
 損失計上の主な要因は、収益においては給水人口の減少や節水意識の普及などの影響で、給水収益が前年度と比べ、1,484万4千余円(1.81
%)の減少、下水道使用料徴収負担金の減により、その他営業収益が2,334万3千余円(75.77%)の減少となり、反面、費用においては資産減耗費で2,389万6千余円(46.74%)、減価償却費で923万1千余円(5.39%)減少したにもかかわらず、開閉栓、料金関係業務委託の増に総係費が4,504万5千余円(51.22%)増加したのが原因である。これには、料金関係の新旧システムの併存という過渡的措置があり、一時的なコスト増であると思われるが、今後の推移を注視したい。
 また、1立方メートル当たりの給水原価278.95円が供給単価262.50円を16.45円(前年度は△2.22円)上回っている状況である。

 経営分析による収益率では、純損失の影響を受けて、総括的な収益の割合を示す総収支比率が96.41%(前年度105.55%)となり、営業収支比率が93.22%(前年度100.41%)となっており、その他の利益率も悪化している。
                            
 年間の給水状況を見ると、給水戸数13,663戸、32,654人に供給している。これは、前年度と比較すると、給水戸数は250戸増えているが、給水人口は173人減少している。
 料金収益となる有収水量は306万1千立方メートルで、前年度と比べ7万3千立方メートルの減少となり、給水収益で1,484万4千余円の減額となっている。
 有収率は73.13%(前年度72.22%)と徐々に改善はしているが、依然として低水準にあり、これが、経営を圧迫する要因の一つと考えられることから、「有収率向上基本計画」に基づき、引き続き漏水の原因や地区の特定を行い、有収率の向上を図っていただきたい。

 経営の合理化と安定的な事業継続を図るため、平成31年3月1日より、「白石市上下水道お客様センター」を開設し、検針業務、収納整理業務、窓口業務、コールセンターを民間委託したほか、平成30年4月1日より、開閉栓・施設管理業務を民間委託したことは、時宜を得た対応であると評価するものである。
 水道事業は市民生活や経済活動を支える重要なライフラインである。しかし、将来予測では給水人口、水需要の減少およびそれに伴う料金収入の減少が想定される一方、老朽化した施設、管路の計画的な更新が喫緊の課題となっている。
 従って、今後は「白石市水道ビジョン」をもとに策定した白石市水道事業経営戦略、上水道再構築計画により、ダウンサイジング(規模縮小や施設統廃合)を念頭に施設整備を進め、常に経済性を発揮しながら、安全で良質な水道水の安定供給に努められたい。また、事務事業の効率化を推進し経費の節減を図るとともに、使用料等の収納率の向上に努め、収入の確保を図られるよう強く望むものである。
 

 

2.下水道事業会計

 平成30年度の経営成績については、総収益は8億8,740万2千余円で、総費用は9億3,730万余円となり、前年度よりも2億8,728万3千余円少ない4,989万7千余円の純損失を計上することとなった。
 この結果、純損失に前年度繰越欠損金を加えた当年度未処理欠損金は、15億2,209万9千余円となった。

 事業別に見ると、公共下水道事業では、総収益は7億6,016万6千余円で、総費用は7億6,972万5千余円となり、差し引き955万9千余円の純損失となり、農業集落排水事業では、総収益は1億2,723万6千余円で、総費用は1億6,757万4千余円となり、差し引き4,033万8千余円の純損失となった。
 損失計上の主な原因は、収益においては下水道使用料の改定により営業収益が前年度と比べ、6,075万2千余円(12.50%)増加したものの、他会計補助金で1億119万7千余円(64.94%)の減少、特別利益1億267万8千余円(99.54%)の減少となった。
 一方、費用においては、公共下水道事業の災害による損失3億6,749万1千余円の減少が大きく影響したものである。

 経営分析による収益率では、前年度との比較で、総括的な収益の割合を示す総収支比率が20.30ポイント上昇して94.68%となり、営業活動の能率を示す営業収支比率でも7.34ポイント増加して69.90%と良化しており、下水道使用料の改定による営業収益の増加によることが窺える。
 下水道事業の普及状況について、全体で処理区域内人口24,402人に対し、水洗化人口22,994人で、水洗化率は94.23%となり、前年度より1.06ポイント上昇している。年間総処理水量は2,858,769㎥、年間総有収水量は2,646,740㎥となり、有収率は92.58%で前年度より0.10ポイント低下している。
 建設改良事業としては、管渠整備工事、マンホール蓋更新工事、国道4号付加車線整備に伴う移設工事などを行った。

 東日本大震災による下水道施設への被害は大きく、公共下水道事業においては、災害復旧工事は約7年にも及んだ。工事が進捗し、安定して施設が使用できるようになってきたものの、人口減少による使用料収入減少や、管渠整備に重点を置いた初期投資に伴う元利償還金が大きな財政負担となっている。
 このような状況を踏まえ、平成30年10月分より平均31.2%の下水道使用料の引き上げを行ったところであり、その効果が好転の兆しとして見えた決算と総括することができる。

 しかしながら、既にある下水道施設の多くが更新の時期を迎え、今後さらに投資的経費が発生することは避けられず、白石市公共下水道長寿命化計画に基づき、投資・財政収支のバランスを保ちながら、計画的な施設・整備の更新を図っていただきたい。また、事務事業の効率化を推進し経費の節減を図るとともに、下水道接続の普及促進および使用料等の収納率の向上に努め、収入の確保を図るよう切望するものである。