○白石市議会基本条例
平成26年12月17日
条例第34号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)
第3章 市民と議会の関係(第5条―第10条)
第4章 市長と議会の関係(第11条―第15条)
第5章 議会活動の活性化(第16条―第20条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第21条―第25条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第26条―第28条)
第8章 議会改革と見直し手続き(第29条―第31条)
附則
(前文)
白石市民から選挙で選ばれた議員で構成する白石市議会(以下「議会」という。)は、同じく選挙で選ばれた白石市長とともに、白石市の代表機関を構成します。
それぞれに、議会は多人数による合議制の議事機関として、また市長は独任制の執行機関として、異なる特性を生かして、互いに競い合い、協力しながら、市民の意思を的確に市政に反映させ、白石市の最良の意思決定を導く共通の使命が課せられています。
近年、急激な人口減少と少子高齢化社会の到来など国と地方自治体を取り巻く情勢は大きく変化するとともに、市民のニーズも多様化しています。
また、地方議会においては、「議会が市民に見えていない」「議会と市民との距離が離れている」などの声も聞かれる中、私たち議会は、今、この声に耳を傾け、市民と真摯に向き合うことが必要だと考えます。
このような状況の下、私たち議会は、昭和29年の市制施行から60年を経た今、あらためて「議会は民意を反映する場であり、地方自治体における最高の意思決定機関である」ことを胸に刻み、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)が定める規定の遵守とともに、その持てる権能を十分に駆使して、積極的な情報の創造と公開、政策活動への多様な市民参画の推進、議員間の自由な討議の展開、市長等の行政機関との緊張関係の保持、議員の自己研鑽と資質の向上、公正性と透明性の確保、議員活動を支える体制の整備等の取り組みを明らかにし、かつ的確に実践することにより、議会の責務を果たし、より市民に開かれた信頼される議会を築きます。
よって議会は、市民の声を聞き、地方自治の本旨である市民福祉の向上及び市勢の伸展のため、さらなる議会改革の推進を決意し、ここに白石市議会基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、分権と自治の時代にふさわしい、議会及び議員の活動原則を定め、議会の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、市民福祉の向上及び市勢の伸展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次の各号に掲げる原則に基づき運営を行うものとする。
(1) 公開性、公正性、透明性を確保し、市民に開かれた議会を目指す。
(2) 市民を代表する議事機関であることを常に自覚し、市長その他の執行機関の市政運営状況を監視する。
(3) 市民の多様な意見を的確に把握することに努め、市政に反映させるための議会運営を目指す。
(4) 議員相互間の討議を十分に尽くして、合意形成を図る。
(5) わかりやすい言葉、表現を用いた議会運営を行う。
(6) 議会運営にかかわる条例、規則、申し合わせ事項及び先例等を継続的に見直し、議会の信頼性を高めるため、不断の改革を推進する。
(7) 議会を代表する議長、副議長の選出に当たっては、立候補制とし、それぞれの職を志願する者に対して所信を表明する機会を設け、その選出の過程を市民に明らかにしなければならない。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次の各号に掲げる原則に基づき活動を行うものとする。
(1) 議会が言論の府であること及び合議体であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじる。
(2) 市民の多様な意見を的確に把握することに努め、市民全体としての福祉向上を目指す。
(3) 議員立法による積極的な条例提案を推進する。
(会派)
第4条 議員は、会派を結成することができる。
2 会派は、政策を共有する議員で構成し、合意形成に努めるものとする。
3 議長は、必要があると認めるときは、会派代表者会議を開催する。
4 会派及び会派代表者会議に関し必要な事項は、議長が別に定める。
第3章 市民と議会の関係
(情報公開)
第5条 議会は、市民に対し積極的にその有する情報を発信し、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、常任委員会、特別委員会等を原則公開とする。
3 議会は、全ての議案に対する各議員の賛否をホームページ等で公表することで、議員の活動に対して市民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めなければならない。
(市民との連携)
第6条 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大に努めるものとする。
2 議会が請願及び陳情を審査するときは、請願者及び陳情者から請願及び陳情の趣旨の説明を受ける機会を持つものとする。
3 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
(市民との意見交換会)
第7条 議会は、市民への報告と市民との意見交換の場として、全議員出席のもとに意見交換会を年1回以上開催しなければならない。
2 意見交換会に関することは、議長が別に定める。
(一般会議の設置)
第8条 議会は、政策的な情報及び意見を交換するため、議会が必要と認める場合又は市民団体等の求めに応じ一般会議を行うことができる。
2 一般会議に関することは、議長が別に定める。
(政策企画調整会議)
第9条 議会は、広聴活動による市民の意見等を政策及び課題として、政策立案等を行うため、議員で構成する政策企画調整会議を設置することができる。
2 前項の政策企画調整会議の設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。
(議会モニター)
第10条 議会は、議会運営に関する市民の意見等を聴取し、議会運営に反映させるため、必要に応じ議会モニターを設置することができる。
2 前項の議会モニターの設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。
第4章 市長と議会の関係
(市長等との関係)
第11条 議会審議における議員と市長及び執行機関の職員(以下「市長等」という。)との関係については、緊張関係を保持するものとする。
2 議案の審議は、本会議を中心に行い、市民にわかりやすい議会運営に努めなければならない。
(一問一答及び反問権)
第12条 議会の本会議における議員と市長等の質疑応答は、論点、争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
2 議長から本会議、常任委員会及び特別委員会への出席を要請された市長等は、議員の質疑及び質問並びに議員提出議案に対して議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
(市長提案政策等の詳細説明)
第13条 議会は、市長が提案する重要な計画、政策、事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点情報を整理し、その政策等の水準を高めるため、市長に対し、次の各号に掲げる事項の説明を行うよう求めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 市総合計画との関連性及び整合性
(5) 関係する法令及び条例等
(6) 財源措置
(7) 将来にわたる政策等の効果及びコスト
(予算及び決算における説明)
第14条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、市長に対し、分かりやすい施策別又は事業別の説明を行うよう求めるものとする。
(法第96条第2項の議決事項)
第15条 法第96条第2項の規定により、議会の議決すべき事項は、市の基本構想及び基本構想に基づく基本計画とする。
第5章 議会活動の活性化
(自由討議の保障及び拡大)
第16条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議を重視した運営とする。
2 議会は、前項の議員相互間の自由討議を重視し、条例、意見書等の議案提出を積極的に行う。
(政務活動費の交付及び公開)
第17条 会派は、調査活動の基盤の充実を図ることにより、政策研究、政策提言等が確実に実行されるよう白石市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年白石市条例第1号。以下この条において「政務活動費条例」という。)の定めるところにより、政務活動費の交付を受けることができる。
(専門的知見の活用)
第18条 議会は、市の直面する重要課題に対応するため、法第100条の2の規定により、大学等研究機関との連携又は専門的な知識及び経験を有する者の積極的な活用を図る。
(委員会の適切な運営)
第19条 議会は、市政の諸課題を適正に判断し、委員会の専門性と特性を活かした適切な運営に努めなければならない。
(交流及び連携の推進)
第20条 議会は、他の自治体の議会との交流及び連携を推進するため、独自に又は共同して、分権時代にふさわしい議会の在り方についての調査研究等を行うものとする。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議会及び議会事務局の体制整備)
第21条 議会は、政策提案機能、立法機能、監視機能及び調査機能を補助させるため議会事務局の体制整備を行うものとする。
2 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
(議員研修の充実強化)
第22条 議会は、この条例の理念を議員間で共有するため、一般選挙等を経た任期開始後、速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。
2 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。
3 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野から専門的知識を取り入れるものとする。
(議会広報の充実)
第23条 議会は、市議会ホームページ等の情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用し、多くの市民が議会及び市政への関心を高めるための体制整備並びに議会広報活動の充実強化に努めるものとする。
(議会図書室)
第24条 議会は、議員の調査研究に役立てるため、議会図書室の充実に努めるものとする。
(調査機関の設置)
第25条 議会は、市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、議決により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。
2 議会は、必要があると認めるときは、議員を前項の調査機関の構成員にすることができる。
3 第1項に規定する調査機関の設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第26条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、良心と責任感をもって、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
(議員定数)
第27条 議員定数は、白石市議会議員定数条例(平成12年白石市条例第32号)の定めるところによる。
2 議会は、議員定数の改正に当たっては、法の規定による市民の直接請求及び市長が提出する場合を除き、特別委員会を設置し、定数を検討するものとする。
3 議員定数を改正する議案を提出するに当たっては、改正理由の説明を付して、法の規定に基づき委員会又は議員が議長に提出するものとする。
(議員報酬)
第28条 議員報酬は、白石市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和43年白石市条例第6号)の定めるところによる。
2 議会は、議員報酬の改正に当たっては、法の規定による市民の直接請求及び市長が提出する場合を除き、特別委員会を設置し、報酬を検討するものとする。
3 議員報酬を改正する議案を提出するに当たっては、改正理由の説明を付して、法の規定に基づき委員会又は議員が議長に提出するものとする。
第8章 議会改革と見直し手続き
(議会改革推進会議)
第29条 議会は、分権時代にふさわしい、市民に開かれた信頼される議会のあり方について調査研究を行い、かつ、不断の議会改革を推進するため、議員で構成する議会改革推進会議を設置することができる。
2 議会改革推進会議は、議会制度に係る法改正等があったとき、又は議会改革の推進の観点から必要があると認めるときは、当該議会制度について速やかに調査又は検討を行わなければならない。
3 議会改革推進会議の設置に関し必要な事項は、議長が別に定める。
(他の条例との関係)
第30条 この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図らなければならない。
(見直し手続)
第31条 議会は、一般選挙を経た任期中に、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検証するものとする。
2 議会は、前項による検証の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和2年3月6日条例第11号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和5年6月21日条例第27号)
この条例は、公布の日から施行し、同日以後初めてその期日を告示される一般選挙により選出される議員の任期が始まる日から適用する。